残業したのにも関わらず
隣町をふらついていた。
今日はあまり家に帰りたくない。
家に帰りたくないのではなく、なんとなく人波に飲まれていたかった。
ぷらりとお店に立ち寄って、なんとなくいろいろと見ていた。

見ていると突然、指輪が欲しくなった。
そこに展示されているのは、本当にお洒落用の大振りなもの。
手にとってみたけど、こういうのじゃなくて
めちゃくちゃチープなものが欲しかった。
どうみてもオモチャ、みたいなのが良かったんだけど
気に入るのはなかったな。
ぶっちゃげたところ、アクリル製の無意味に派手目なのがよかったんだよな。

確かあの頃、自分はピンク色とオレンジ色のプラスチックのオモチャの指輪を持っていたんだよね。
今となってはどこに行ってしまったのかすら忘れたけど
それを思い出すような指輪が欲しかった。

思い出したいのかな?
毎年この日がくる度に、どんどん切なくなってきます。
人間の記憶はあいまいなもので、とっておきたい記憶は
どんどん美化されていくんだなぁって実感してます。
美化されていくたびに、苦しくなっていくのにな
時間って不思議なもので痛みを忘れさせて軽減することもあれば
どんどん痛みを増すこともあるんだなぁって

不器用だけど、それでも微笑んでくれたことは
もしかしたらただの苦笑だったのかも知れない
僕が不安そうな顔をいていると、安心させようって微笑みかけてくれたのかな・・・・。
そんなことを思うと切ない。


遠く、旅立った君へ。

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